W211/S211は、メルセデス・ベンツの3代目Eクラスを指すコードネームです。
メルセデスベンツを代表するセダンタイプの主力車種として、風格、品質への信頼度とともに幅広いユーザーに長年愛されている車種です。頭文字の「W」はセダン、「S」はステーションワゴンを表します。
2002年に登場し前モデルのニュアンスを踏襲しつつも大胆に傾斜した4灯式ヘッドライトを特徴とし、よりエレガントさを演出しつつも後期型はフロントグリルを中心にスポーティーな印象を強めました。外観はキープコンセプトでしたが、新プラットフォームの採用により全幅と全高が20mmずつ拡大しより大きなボディサイズになっています。
日本国内ではエレガンス(E300)とアバンギャルド (黒系の木目の内装で革張り) がラインナップしていました。
アバンギャルドは2006年秋のマイナーチェンジによりアバンギャルドSとしてバトンタッチしたものの、その半年後にはE350のFR車に限りアバンギャルドが復活をしています。(E320 CDI、E350 4MATICは従来からアバンギャルドのまま)
先進装備として、雨天時などにディスクとブレーキパッドをわずかに接触させ水分の除去を行いながらの走行や、アクセルペダルから足を離すと、ブレーキに備えてディスクとブレーキパッドの間隔を狭める機能「SBC (Sensotronic Brake Control) 」が装備されています。
名車のEクラスW211ですが、年数も経ちマリオットマーキーズにもたくさんのEクラスw211を整備ご入庫いただいています。このページでは良くある箇所の詳細を掲載しながらw211の整備をご説明したいと思います。ぜひ、車検や整備入庫時にご参考下さい。
販売期間 | 2002年-2009年 |
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ボディタイプ | 4ドアセダン/5ドアステーションワゴン |
最高出力 | ガソリン:120-378kW(163-514PS) |
変速機 | 6速MT/5速AT/7速AT |
駆動方式 | FR/4WD |
全長 | セダン:4,820-4,880mm/ワゴン:4,850-4,920mm |
全幅 | 1,820mm |
全高 | セダン:1,430-1,500mm/ワゴン:1,485-1,510mm |
ホイールベース | 2,855mm |
車両重量 | セダン:1,650-1,920kg/ワゴン:1,780-2,020kg |
最小回転半径 | 5.3m |
E63 | AMG | E250 | アバンギャルド |
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AMG ステーションワゴン | ステーションワゴン アバンギャルド | ||
E550 | アバンギャルドS | E55 | AMG |
ステーションワゴン アバンギャルドS | ステーションワゴン/スーパーチャージャー | ||
E350 | アバンギャルドS | E500 | アバンギャルド |
ステーションワゴン アバンギャルドS | ステーションワゴン/アバンギャルド | ||
E350 | 4MATIC アバンギャルド | E320 | アバンギャルド |
ステーションワゴン アバンギャルド | ステーションワゴン アバンギャルド | ||
E350 | アバンギャルド | E320 | 4MATIC アバンギャルド |
ステーションワゴン アバンギャルド | ステーションワゴン | ||
E320 | CDI アバンギャルド | E280/E280 | ステーションワゴン |
CDI ステーションワゴン アバンギャルド | E300 | ステーションワゴン アバンギャルドS | |
E300/E300 | アバンギャルドS | E250/E250 | ステーションワゴン |
ステーションワゴン | E240/E240 | ステーションワゴン |
※表にない車種もお問い合わせください。
ここでは故障事例や点検結果を基にW211を再生させるお勧め交換パーツをご紹介します。
エンジン周り
空調を使用する際に外気を導入し車内をリフレッシュする時にホコリやゴミ等を除去します。目の細かいフィルターですので高性能と言えますが、その分汚れやすく目詰まりもします。湿気を帯びやすいので長期間使用していると臭いも出てきます。定期的に点検をお勧めしています。
エンジンの吸入空気取り入れ口の取り付けせれています。大気中のゴミやホコリを除去しエンジンへクリーンな状態の空気を送る為には必要不可欠な部品です。走行をしていなくても、エンジン始動中は除去をし続けますので、あながち走行距離でけで交換時期を判断出来る物では有りません。やはり汚れ具合や状態を確認する事が重要です。
チェックエンジンランプ点灯やエンジンの出力不足、エンジンのバラつき等、W211では徐々に増えて来た故障事例です。原因の1つにインテークマニホールドのエア吸いが有ります。構成パーツの貼り合わせ面や、補機類の取り付け部などから余分な空気を吸ってしまう事で不具合が出ます。
エンジンを冷却する為に冷却水を圧送し循環させる大変重要な部品です。故障の症状としては回転軸のガタ、異音 冷却水漏れなどが主ですが、時にはポンプ用のフィンが腐食して崩れてしまうケースも有り、結果オーバーヒートを招きます。決して安価な部品では有りませんが、タイミングを見て前もって交換しておくのが、転ばぬ先の杖となります。
W211ではエンジンのオイル漏れ箇所としては定番になっている箇所の1つになります。エンジン本体とオイルを溜めておくオイルパンとの境目をガスケットでシールしています。経年によりガスケットが劣化してくるとオイル漏れを引き起こします。エンジン真下に位置しますので派手に漏れてきてしまいますし、目立ちます。また、直ぐに地面に垂れますのでまわりの環境にも良くありません。
エンジンオイル注ぎ口のキャップになります。このキャップは直にオイルに浸っている訳では無いのですが、ブローバイガスという高温なガスに常時さらされている為に、キャップガスケットが劣化します。そこに内部で跳ね返って来るオイルをシール出来ずに漏れが発生してしまいます。エアー吸いの要因にもなります。
エンジンの発電機になります。W211もオルタネーターの故障事例が増えてきました。発電をしなくなるとバッテリー上がりを引き起こします。不動車になってしまいますので大変な事態に発展してしまいます。また、駐車中に漏電をしてしまうケースも有ります。電圧系統に少しでも不安があればプロショップに点検を依頼するのがベストです。
カムセンサーとは逆側にエンジンのタイミングを調整する為のサービスホールが設けられています。この穴を塞いでいるのがこちらのキャップになります。経年によりゴムが硬化してくるとシール性が低下しオイル漏れを引き起こします。漏れ方も派手になりがちですので、見付け次第のキャップ交換をお勧めしています。
カムエンドキャップと同様の理由によりオイル漏れが発性しやすい箇所です。こちらはセンサーに付くOリングを付け変える作業になります。漏れが始まるとキャップ同様、派手に漏れますので、こちらも見付け次第の修理をお勧めしています。
冷却水をラジエターに送るのか、エンジン内部で循環させるのか切り替えをさせるバルブになります。決まった水温まで 上昇すると弁が開き、ラジエター方向の水路を解放します。エンジンの一番効率の良い温度を保たせる重要な部品です。開きっぱなしではエンジンが温まりづらく出力の低下を導き、閉じたままではオーバーヒートを引き起こします。
W211は距離も伸びてきて10万キロを超える車輌も増えてきました。スパークプラグ交換の時期にもなります。 経年も手伝ってかイグニッションコイルの不具合も目に付くようになって来ました。交換サイクルが伸びて来ているとはいえ、スパークプラグは消耗品ですので、不調を感じていなくても交換する事で調子が上がりますのでお勧めです。
過給機の直後のせいもあり、吹き返したオイルが良く漏れてきます。オイルによりふやけたようになってしまったブローバイラインホースは破けて穴が空いてしまう事も有ります。ホースバンドの締め直しを何度か行いますが最終的には伸び切ってしまい亀裂が入って来ます。ころ合いで交換をお勧めしております。
W211でのエンジンオイル漏れ事例で最も多い箇所になります。エンジンの最上部に位置し、エンジン熱もこもり易い部位ですので、ガスケットのヘタリが短いスパンで訪れます。オイル漏れ修理をせずに放っておきますとエキゾーストマニホールドにも到達し、焦げた臭いや煙を発生させます。最悪の場合は火災にもなりかねません。こちらも 見付け次第修理をお勧めしております。
エンジンは負圧を利用して幾つかの装置を作動させます。その負圧を生成しているのがこちらのポンプです。少し前までは インテークマニホールド内の負圧を利用していましたが、最近ではこの様に別体に装置を設けるのが主流となっています。カムシャフトの回転を利用してポンプを回しますので、エンジン本体に装着されます。ここからのオイル漏れも件数の多い箇所では有ります。
上記ポンプのカバーになります。カバーにはOリングが取り付けられ、アフターパーツとしてもOリングのみの設定は有ります。しかし、オイル漏れを起こしてOリングを交換してもほぼ漏れは止まりません。カバー自体が樹脂製のため、歪みが発生してしまいシール性が低下してしまうようです。当社ではカバーごと交換をお勧めしております。
オイルフィルターが入るケースです。オイルクーラーも併設されている設計となっています。エンジン本体に直接取り付けされ、その取り付け面からのオイル漏れも事例としては多くなってきています。油圧が掛っている事も有り漏れ始めるとかなりの量が出てきますので非常に派手に広がりを見せます。
オルタネーターやエアコンコンプレッサー、パワステポンプにウォーターポンプとエンジンのあらゆる装置を駆動させる重要な役割をもつのがベルトです。切れてしまうと走行不能に陥ります。また、ベルトの張り加減も大変重要な要素です。ベルトが伸びたり、テンショナーの動きが悪くなるとベルトの滑りを呼び、ガイドローラーに不具合が出ると異音を発生させます。ベルト切れの要因にもなります。
冷却水漏れの事例も大変増えてきました。何度となく内側から圧力を掛けられホース自体にストレスが溜まると亀裂などが発生してきます。ホースを握るとサクサクとした感触が手に伝わってくる時がありますが、これはホース内側が硬化してヒビ割れ状態を起こしている証拠です。こうなると冷却水漏れの発生まで時間の問題となります。
エンジンクランクシャフト後方のオイルシールです。普段はミッションが取り付けられていますので見る事が出来ません。 エンジンとミッションの繋ぎ目にオイルが溜まっているとほとんどがこのクランクシールが漏れていると判断出来ます。シールのリップがヘタって来るとクランクシャフトの回転によりオイルを掻きだしてしまう事を抑えられなくなり漏れが生じます。作業はトランスミッション脱着が必要です。
材質的に良く効くブレーキの設定でも有り、トランスミッションがATで有る事でペダルを踏む回数が多くブレーキの減り方は国産に比べ早いのは確かです。ブレーキディスクにも厚みに摩耗限度値が設定されていますので安全な走行を考えるので有れば、設定値を守り安易にパットだけ交換すればいいという考えは危険です。残量チェックはプロに任せする事をお勧めします。
下回り
エンジンオイルパン同様にオートマオイルを溜めておく場所になります。漏れる要因や症状もエンジンとほぼ同様になります。こちらも長い間放っておきますと、予想以上にオイル残量が不足に陥りミッション内部に焼き付きを発生させ、ミッションを壊してしまう事に繋がります。早め早めの対処が大きな出費を防ぎます。
エンジンの振動を吸収し、またエンジンを支えている装置です。これも経年ににより潰れて来ているのを良く目にします。 酷い物は内部グリスが出てきてしまい振動をほとんど吸収出来ていない場合も有ります。こちらの交換を行いますと、車輌が見違うように変わります。エンジンが滑らかさを取り戻したように感じたり、アクセルのツキが良くなったりと 効果は直ぐに感じられるはずです。
こちらはミッションを支えているマウントです。エンジンマウントが左右に付き、このミッションマウントと3点で エンジン・ミッションを支えていますので、ほぼマウント交換は3セットになります。ミッションから出力される回転方向のねじれる力を吸収していますのでかなりの負担を担っている箇所でも有ります。
足回り
アーム類がスウィングする事で路面の凸凹を吸収出来たり、カーブを安定して曲がれたりしますので車輌には無くてはならない 足廻りの部位です。スウィングされる中心点にはゴムブッシュが使用されています。ねじられる力が常時掛りますので 疲労が蓄積されると亀裂が発生してきます。この亀裂は進行を止めませんので放っておくと、ハンドリングやブレーキングなどにも影響を及ぼします。異音の発生原因となる事も有ります。
路面から足廻りに入力される力を和らげたり、スプリングの動きを抑制したりと役割が重要な箇所です。エアーサスペンションもしかりです。ショック自体のヘタリや内部オイルの漏れなどが有りますと、乗り心地も悪くなったり、車検が通らなくなる場合も出てきますので、しっかりと点検をしておく事が重要となります。
車輌のローリングを抑制するスタビライザーのリンクロッドです。大変な力が掛る箇所ですので、ブッシュに亀裂が入ったり ボールジョイントにガタが出てしまったり、ジョイントブーツが破けてしまったりします。こちらも放っておきますと カタカタと異音の原因になり、ブーツやブッシュが切れていますと車検にも影響します。
ハンドルで操舵した舵角をホイールに伝え、車輌の進行方向を決める装置です。パワーステアリング装置ですので内部には高圧のオイルが来ており、まれにオイル漏れを引き起こします。
足廻りからギシギシといった感じで異音が発生した場合に原因として多いのがこのジョイントです。足廻りの基点となる重要な部分になり、負荷も相当掛る箇所です。その為に異音やガタが発生する事も少なくなく、当社でも相当数の作業件数を行っております。
走行するにあたり、無くてはならないものです。タイヤはゴムですので、時間が経つと硬化が始まりヒビ割れや亀裂を生じます。溝が無ければ雨天は排水が充分に行えず滑りを生じ、硬化すれば同じくグリップを失い滑ります。 また、グリップ低下によりブレーキの効きが悪くなります。亀裂はいずれバーストを生じます。
電装
ESPインジケーター点灯時に故障の原因として最も多いのがこのアングルセンサーです。ステアリングの操舵角をモニターしており、緊急危険回避時の車輌制御のデータとして重要な役割を担っています。ステアリングの直ぐ奥に取り付けされており、交換は少々手間の掛る作業になります。
サブバッテリーインジケータ―が点灯した場合の原因の1つです。サブバッテリーへの充電回路を担いますが、故障しているとサブバッテリーは充電されず、バッテリー電圧が下がり、インジケーターを点灯させます。取り付け箇所が奥まったところになりますので、作業はなかなか大変です。
経年によりレンズに曇りが発生している車輌を良く見かけるようになりました。車検時は光量が不足し合格出来ない場合も出てきました。W211は純正では有りませんがレンズだけ交換出来るキットが販売されていますのでお勧めしています。 交換後は見た目が非常に良くなります。また前期車輌は後期タイプへ変更したりとバリエーションが選べます。
様々な理由により点灯しますので、しっかりとした診断が必要になります。当社はベンツ専用テスターを完備しておりますので、あらゆる故障診断が可能となっています。
まだまだ現役のEクラスW211。キメの細かいメンテナンスで性能を維持しましょう!
ベンツ整備の際に気になってくるのはやはり費用。
弊社では創業以来30年以上に渡るベンツの修理実績を基に、適正価格で整備を行なっております。まずはお気軽にご相談ください。
こちらではメルセデスベンツ・AMGクラス別の修理費用一覧をご紹介すると共に、各クラスごとの整備ポイントなどもあわせてご紹介しています。